乗運寺の庭に咲く花々・・・6月


園長(乗運寺住職)の撮った写真です。
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 泰 山 木(タイサンボク)
モクレン科の常緑の高木。北米原産。観賞用に栽培されている。
幹は直立し、分枝して葉が密生する。葉は長楕円形で大きくて厚
い。表面は滑らかで光沢がある。裏面には茶褐色の毛が多い。
初夏に芳香のある大輪の
白い花を咲かせる。花弁は6〜12弁。
葉も花も大きくて立派であるとの意で「泰山木」または「大山木」と
名付けられ、蓮に似ている花の意で「白蓮木」ともいうそうだ。
 皐   月(サ ツ キ)
ツツジ科の常緑低木。古くから観賞用に栽培されており、品種は
園芸種を含めて大変多い。初夏に5裂の花を咲かせる。花の色も
白や赤など多様である。
陰暦の5月(現在の6月)に咲く
ことから
名づけられた。
「五月」とも書く。なお、「五月晴(さつきばれ)」は、
5月の晴れわたった青空によく用いるが、梅雨(つゆ)の晴れ間の
ことであり、「五月雨(さみだれ)」は、梅雨の長雨のことです。
 庭   藤(ニワフジ)
マメ科の落葉低木。東海地方以西の谷沿いの崖などに自生し、
庭木として栽培される。葉は奇数複葉。表面は無毛だが、裏面
には毛があり白っぽい。初夏、茎の上部の葉腋から花柄を出し、
穂状に多数の蝶形の花を咲かせる。花の色は美しい紅色です。
白い花のものもあるそうだ。生育場所から 「岩藤(イワフジ)」、
花の愛らしさから 「姫藤(ヒメフジ)」とも名づけられている。
 未 央 柳(ビヨウヤナギ)
オトギリソウ科の半落葉低木。中国原産。葉は対生し長楕円形。
初夏、茎は多く分枝して、その先に5弁の黄金色の花が上向きに
咲く。花弁より長い多数の雄蕊(おしべ)が刷毛(はけ)のように立
った姿は、実に美しい。唐の玄宗時代に、長安の宮殿「未央宮」の
庭に植えられた柳に似ていることから名づけられたという。花が美
しく、葉が柳に似ている
ので、「美容柳」「
美女柳」とも書く。漢名は
「金糸桃」。雄蕊を金糸に見立てたそうだ。「金線海棠」ともいう。
 金 糸 梅(キンシバイ)
オトギリソウ科の半落葉低木。中国原産。葉は対生し長楕円形。
初夏、茎は多く分枝して垂れ下がる。枝先に5弁の黄金色の花が
やや下向きに咲く。
葉も花も未央柳に似ているが、雄蕊(おしべ)
が花弁の中に収まる長さであり、その形状も異なる。雄蕊を金糸
に見立て、
花の形が梅に似ているとの意で名づけられたという。
 箱 根 空 木(ハコネウツギ)
スイカズラ科の落葉低木。海岸付近に自生する。葉はアジサイに
似て広い楕円形で
、対生する。初夏茎の上部に、元が細い筒形
で、先が
5裂した花が多数集って咲く。花の色は、はじめ白色で、
やがて赤色に変り、終りの頃には紅紫色になるものが多い。
その
ため、同じ木に数種類の色の花が咲いているように見える。なお、
箱根には自生していないそうで、その名の由来は不明とのこと。
 梅 花 空 木(バイカウツギ)
ユキノシタ科の落葉低木。日本列島原産。山野に自生する。葉は
楕円形で先がとがっており、対生する。初夏、枝先に4弁の白い
花を咲かせる。花弁の先がやや凹んで
でいる。雄蕊(おしべ)は
20本ほどあり、その先は
黄色。花弁が4枚だが、花の形が梅に
似ているところから名づけられたという。
 下  野(シモツケ)
バラ科の落葉小低木。山地に自生する。葉は細長い楕円形で鋸
歯があり、葉の裏は粉がふいたように白い。初夏、枝先に小さな
淡紅色の5弁の花が散房状に集って咲く。
美しい花である。
下野(しもつけ)の国(現在の栃木県)で発見されたことから名づけ
られたそうだ。白色の花の品種もある。これまた美しい。
 京 鹿 子(キョウガノコ)
バラ科の多年草。観賞用に栽培される。葉は手のひら状で鋸歯が
ある。初夏、茎の先に小枝を分枝し、紅紫色の5弁の小さな花が
散房花序
に密集して咲く。京染の鹿の子絞りをもじって、この名が
つけられたという。
自生地は見つかっていないそうだ。知人から頂
戴した。洒落た名の美しい花です。
 柿   蘭(カキラン)
ラン科の多年草。日当たりの良い山野の渓谷沿いの斜面などに
自生する。日本列島のほか、朝鮮半島、中国大陸の原産。葉は
先のとがった卵形で
、茎を抱いてつく。初夏、茎の上部に美しい
花を横向きに多数つける。花の外花被片は橙黄色で、内花被片
と唇片は白く、唇片には紫紅色の斑点がある。
花の色が柿色

あることから名づけられたそうだ。知人から頂戴した。
 浮 釣 木(ウキツリボク)
アオイ科の常緑小低木。南米の暖地原産で、鑑賞用に栽培され
ている。葉に柄があり、互生する。初夏、葉腋に柄のある花が下
向きに垂れ下がって咲く。萼(がく)は筒状で稜があり、鮮やかな
赤色である。5枚の花弁は鮮黄色で、から外へ出ており、その
対照が美しい。雄蕊と雌蕊は花弁より出ており、「フクシア」の花
と似ている。
花が空中に浮かんで釣り下がっていることから
名づ
けられたそうだ。原名はアブチロン。知人から頂戴した。
 麝 香 草(ジャコウソウ)
シソ科の多年草。山地の山陰に自生する。北海道南部から九州
まで広く分布する。
葉は先がとがり鋸歯のある長楕円形で対生。
初夏に、葉腋から出た短い花茎の先に1〜3個の筒状の花を咲
かせる。紅紫色の筒部は長い。上唇弁よりも下唇弁の方が長くて
3裂している。
麝香(じゃこう)の香りがすることから名づけられたと
いうが、そのような香りはない。当地の愛鷹(あしたかやま)

自生している「アシタカ ジャコウソウ」を知人から頂戴した。
 姫 風 露(ヒメフウロ)
フウロソウ科の多年草。「現の証拠(ゲンノショウコ)」の仲間である
風露草(フウロソウ)の一種。風露草は種類が多く、日本各地に自
生する。一般的に、地中海沿岸を原産とする「オランダフウロ」を
「姫風露」と呼ぶことが多い。この種を、日本原産の「姫風露」と区
別するために「紅花姫風露」(ベニバナ ヒメフウロ)ともいうそうだ。
当山に咲くのはこの種。知人から頂戴した。
 露   草(ツユクサ)
ツユクサ科の一年草。日本原産。いたるところで見られる。茎は
横に這い、分枝して広がる。葉は先がとがった長楕円形で、基部
は茎を包む。
形状は笹の葉に似ている。初夏に葉の間から2枚
の帆を立てたような形状で鮮やかな青色の花を咲かせる。舟の
櫂(かい)のように長い蕊(しべ)を出す。帆かけ舟のようだ。一日
花である。露を帯びた草の意で「露草」と名づけられたという。花
の色から「青花」、この花で布を染めたので「着草(ツキクサ)」と
も呼ばれ、
「帽子花」の名もある。白い花の品種もある。知人から
素敵な斑(ふ)入りの葉の品種をいただいたので、ご覧ください。
 紫 露 草(ムラサキツユクサ)
ツユクサ科の多年草。北米原産で明治初めに渡来した。初夏、枝
先に3弁の鮮やかな紫色の花を次々と多数咲かせる。一日花で、
朝開いて半日くらいでしぼんでしまう。葉は細長く、互生する。園芸
品種も多い。理科実験で、
細胞の突然変異の観察材料に用いる。
 ど く だ み
ドクダミ科の多年草。雑草として各地に自生している。地下茎を延
ばして広がる。葉は心臓形で、互生する。悪臭ともいえる特有の
臭気がある。初夏に茎先に白色4弁の花弁状の苞(ほう)のある
淡黄色の小花を棒状に密生する。地下茎と葉は漢方薬になる。
「毒痛み」が転じた名で、毒を止めるという意だそうだ。さまざまな
症状に効果があるということで、十薬
(ジュウヤク)とも呼ばれる。
知人から、美しい斑(ふ)入りの葉の品種を頂戴した。
 花 菖 蒲(ハナショウブ)
アヤメ科の多年草。湿地や水辺に栽培されており、種類が多い。
初夏に紫や白などの大型の花を咲かせる。5月の花でご紹介した
ように、「アヤメ」「カキツバタ」「イチハツ」とよく似ている。「アヤメ」
は外側に垂れている花弁の中央に網目模様があるが、花菖蒲の
花弁には網目模様はない。
葉は
細長くて中央部が隆起している。
 紫 陽 花(アジサイ)
ユキノシタ科の落葉低木。暖地の海岸地域に自生する額紫陽花
(ガクアジサイ)、
山地に自生する小紫陽花(コアジサイ)、蔓紫陽
花(ツルアジサイ)や
山紫陽花(ヤマアジサイ)。
山紫陽花の仲間
甘茶(アマチャ)等々品種が多い。
普通に「アジサイ」と呼ばれる
のは額紫陽花を母種として日本で生れた栽培種です。それぞれの
アジサイに種類が多い。初夏、美しい花を咲かせる。花弁のように
見えるのは装飾花で萼(ガク)片です。「八仙花」の別名もある。

種々のアジサイとその変化の様子をご覧ください。
 梔   子(クチナシ)
アカネ科の常緑低木。暖地に自生する。葉は対生し革質で光沢が
ある。初夏に、品のよい白色の6弁の花を咲かせる。花は芳香を
発する。果実は熟すると紅黄色となり、黄色の染料や利尿剤等の
薬用となる。この実が、熟しても口を開かないことから「口無し」と
呼び、実の形が中国の水を注ぐ器「梔(し)」に似ているので、この
字をあてたそうだ。熟した実は、「2月の花」で紹介してあります。
八重咲のものは果実を結ばないので「ハナクチナシ」とも呼ぶ。
 南   天(ナンテン)
メギ科の常緑の低木。漢名の「南天竹」の「南天」を音読みした。
「難を転ずる」として喜ばれ、魔除けに鬼門や庭先に植えられる。
葉は艶があり、羽状の美しい複葉で、「おこわ」の上に飾られたり
する。初夏、茎先に大きい円錐花序を出し、分枝して白い小花を
多数つける。冬、穂状につく球形の実は艶のある赤色で美しい。
咳止めに効き目があるという。白い実のものなど品種も多い。
美しく熟した実は、「11月の花」でご紹介してあります。
 珊 瑚 樹(サンゴジュ)
スイカズラ科の常緑小高木。暖地の海岸地帯に自生する。葉は長
楕円形で厚く光沢があり、対生する。初夏に5裂した小さな白い花
を密生する。秋に果実が赤く熟して美しい。のち、黒くなる。赤い果
実を珊瑚に見立てて名づけられたそうだ。